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小川征二郎

小川征二郎

フードジャーナリスト。現在パリに在住し、サロン・ド・ショコラ等のイベントや、パリの最新パティスリーを取材している。


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小川征二郎のパリ通信


Vol.97 ピエール・エルメのカフェ

 パリ7区に新しい商業施設がオープンした。場所はラスパイユ通りの14番地。グルネーユ通りとの2カ所の入り口がある。長年工事をしていた場所、漸く工事が終わり8月最後の週の土曜日にオープンした。
 トンネル状の入り口を通ると建物に囲まれた広場がある。中央にアニメに登場しそうな彫刻が飾ってある。近くにベンチもあり、訪れた人達が寛いでいた。勿体ないと思えるほどの贅沢な空間、お洒落なパサージュで今迄に無いスタイルだ。
 パリのパサージュと言えば、通常は昔ながらの天井ガラス張りの所が多い。この様に直接青空の見えるパサージュは、それほど多くない。広場には浮島の様な緑地帯が作られ白樺や欅、その下に羊歯や苔の植え込みがある。都会の中の癒される空間だ。
 広場に面した建物に連なる新しい高級ブティックの数々。レストラン、ブーランジュリー、シュクリトリ―と何れも贅沢な店の作りだ。未だオープンしていない店も多く、如何にもフランス的と言えそうだが、詰掛けた客はいたって寛容。のんびりとショッピングやウインドーショッピング楽しんでいた。
 広場の中央位置にピエール・エルメのカフェがある。恐らく彼の最初のカフェでは。初日と昨日出かけた2度目の時も満席で、空きを待つ人が店の前で待機していた。
 ガラス張りの正面入り口を中に入ると、センターに半円形のカウンター席がある。中で専属のバーテンダーがカクテルを作っているのかシェークを振っていた。7脚の足長椅子にお客が座り、未だ昼間だがアルコールを楽しんでいる。洒落たデザインにマッチした雰囲気、そして客達だ。
 カウンターの奥には、飲み物やケーキなどを頂くテーブルが並ぶ。こちらもゆったりとした空間。席では食事を楽しむ家族連れも多い。この日はティータイム客より食事客の方が多かった。客席は正面左の壁際にも設けられている。
 店内右側奥にショーケースがあり、中に各種ケーキやマカロンが並ぶ。初日見た時はケーキの数も少なかったが、2回目の昨日は午後にも拘らず充分に補充した感じ。スタッフも慣れてきたのか、客への対応も上手くなった。次々に注文が入る。箱詰めにしてもらい持ち帰る客も多い。ショーケースの奥にレジ、係の女性が忙しそうにキーを叩いている。ショーケースの手前には展示棚があり、ショコラ、クッキーなどの新商品が飾ってある。
 ピエール・エルメのカフェはある意味パリでの新しいカフェの始まりとなるかもしれない。先ず店の作りが大変モダンな作りだ。店の設計も面白い。更にパティスリーとレストランが上手く融合している。
 食事を楽しむようにメニューにも色々な工夫のあとが見える。既存のカフェの食事は、レストランより少し手軽なものが多い。ここではレストランと同じレベル内容の物を提供している。見ただけで味の事は言えないが、女性客が楽しむ要素が盛り沢山と言った感じに見えた。待たずに席が取れる様になったら、一度試してみたいと思う。

 ピエール・エルメ店の隣はラ・ブーランジェリー、チェリー・マルクスの店。オープン日店を覗いたが未だ準備中との事で、スタッフが開店の準備をしていた。2度目の昨日は月曜で休みだった。
 チェリー・マルクスの8区ラボルト通りの店には一度行った事がある。有名な料理人であり、日本びいきの方だそうだ。日本のスイーツ好き、又業界の方にはかなり人気があるらしい。勿論パリでも人気の店、作り手としても有名、人気もある。
 店の作り、インテリアもかなりユニークであった。店内で食べれる様にテーブルがある。面白いのは椅子のデザインで、まるでスクーターに乗っているような作りである。肝心のケーキ類は甘味を抑えた感じのもが多く、女性向けと思ったが美味しかった。
 ビィエノワズリーの評判が良いと言うのでクロワッサンも頂いてみた。まるでパイを食べているようなサクサクとした歯触り、これはこれで美味しいが、もう少ししっとり感のある方が私好み。と思いながら頂いた。
 パサージュの店には、ラボルド通りの店同様、色んな形のパンが飾ってある。かなり大ぶりのパンだがディスプレー専門とも思えないので、機会があったら一度味見がしてみたい。何れ次回はオープン時に合わせてと思っているので、改めて紹介したい店である。

 

 グルネール通りの入り口右側にはスーパー・マーケットのカリフールが出店した。bio専門の店で、あらゆる自然食品が揃っている。ある意味実験的な試みの店と言えるであろう。カリフールは通常の店でもbio 商品の比率を高めている。


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