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小川征二郎

小川征二郎

フードジャーナリスト。現在パリに在住し、サロン・ド・ショコラ等のイベントや、パリの最新パティスリーを取材している。


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小川征二郎のパリ通信


Vol.122 歳末

 11月24日のマクロン大統領、国民向けテレビでロックダウン中の各種規制が一部緩められる事になったと演説。11月28日からは飲食関連、薬局以外の各種業種も営業を再開している。外出制限も緩和され、3時間、20㎞以内の散歩も出来るようになった。

 とは言え、相変わらず外出許可の書類持参は義務付けされていて、違反者には最低135ユーロの罰金が科せられる。緩和された理由は、コロナ1日感染者が1万人を割った事にあるようだ。その背景には更なる経済損出を何とか防ぎたいと言う政府の思惑があり、その対応と言える。

 12月と言う月は、商業界で最も大切な月、所謂稼ぎ時である。28日の営業再開を前に、各種商店の前準備状態をテレビのニュース番組で伝えている。喜びと不安が入り混じる仕事現場の経営者、授業員の表情が画面から伝わる。

 28日の朝、ギャラリー・ラファイエットやプランタン・デパートでは幹部を始めスタッフの皆さんが整列してお客を迎えた。ずーぅと以前、東京に初めて行ったフランス人の友人が朝一番にデパートに行き、玄関から店内へと整列する店員の方達に挨拶を受け驚いたと話したが、同じ様な事がパリでも行われている事に戸惑いと感服。日本式のマナーも満更捨てたものでは無い。

 この日に先立ち、22日にはシャンゼリゼ大通り街路樹を飾るイルミネーションの点灯式が行われた。コロナ問題で今年は中止になるかとの噂もあったが、18時30分予定通りに点灯、400本の街路樹を赤く染めた。

 少し残念なのは外出制限で人出が少なかった事である。とは言え、ある意味当然の処置とも言える。テレビに映るシャンゼリーゼ大通りや凱旋門の映像もなかなか良いもんだ。ソーシャル・ディスタンスを唱える現状、通りに人が溢れる事は、単にお祭り騒ぎだからでは済まされない。今のままでは、年末のカウントダウンも中止になると思える。

 政府としては、12月15日迄の期間に新規感染者が1日5千人を下回ったら、外出制限なども解除すると言われている。1月20日迄はレストランもカフェも営業出来ない状態が続いているが、幸いテイクアウトはOK。此れとて地方で上手く運営されているとは思えない。

 大都市部では配達も機能しているが、地方部では配達員も居らず、注文を電話で入れて自分で受け取るしかない不便さである。待つ間も密を避けて行列となる。前にも書いたが雨の日や寒い日店外で待つ事を思うと注文も鈍る。

 

 今回の緩和策に対して、マクロン大統領は経済部門対策を以下の様に発表した。日本でもコロナ下での経済対策、Go Toキャンペーンなどの在り方を色々と検討中と聞く。フランスとの対応の違いなども比較できると思いここに記載してみたい。以下の資料は在仏日本大使館領事部よりのメール一部を使用させて頂いた。

 

フランスの経済活動への影響

 被用者向けの部分的失業制度、不安定な状況にある人々に対する一時的給付や失業保険給付の延長、企業・個人事業主には政府保証付融資や社会保険料の支払免除・猶予、連帯基金を実施するなど、危機の最初の日から対応してきた。第二波の間にも、これらの措置を拡充してきた。

 RSA(積極的連帯所得手当)とASS(特定連帯手当)の受給者、奨学生、住居手当を受給してる学生でない25歳未満の若者に、今週末に150ユーロが給付される。APL(個人住居支援)の受給世帯には、子ども1人あたり100ユーロが給付される。合計で400万世帯と130万人の若者が支援を受ける。

 政府保証付融資の延長、社会保険料の支払免除の再実施、連帯基金の1万ユーロへの増額によって企業支援は大幅に強化された。

近日中にこれらの支援を拡充する。

 レストラン、バー、スポーツ施設、ナイトクラブなど休業が継続するすべての施設は、規模に関係なく、来年1月20日の営業再開まで、連帯基金の1万ユーロの給付より有利な場合、2019年の年間売上高の20%に相当する額の給付を受けることができる。

 季節労働者、エキストラ、再就職できない不安定な状況にある人々、最初の仕事を見つけることができない若者に対する解決策を近日中に示す。仕事を探しているすべての若者は「一人の若者、一つの解決策(un jeune, une solution)」のプラットフォームを活用してほしい。

 

結語として

 これまでの9か月間は厳しい期間であったが、我々は衛生、経済の緊急事態に立ち向かうべく国の機能をより効果的にしてきた。これからも、我々の強さである革新・創造・始動の精神を持ち続けなければならない。新しいセクターの雇用を創出し、発展させる1,000億ユーロの再興プランはこのためである。

 今後数週間は、時にうんざりすることもあると思うが、各自が責任感を持って行動しなければならない。我々の価値、我々の歴史、我々の民主主義、昨日と同様に今日も我々の強みであるヒューマニズムの下、共に頑張ろう。我々は新たな未来を切り開くことができる。以上がマクロン大統領演説の中から抜粋いたものである。

 前のマクロン演説を併記してないので、解らない部分も多いと思うが、それでも日本政府対応との違いはご理解頂けると思う。

 

食品関連のみが営業可能なフランスのスーパー

 24日の大統領テレビ演説に近いある日、街の商店街はゴーストタウンの様に静まり返っていた。大型スーパー、ルクレ―ルは営業しているので、買い物ついでに様子を見に出かけてみた。ここに至るまでの道沿いには色んな業種の店舗が建ち並び、普段なら電気が煌々と点き人の出入りが多い。

 営業自粛中の今はまるで廃墟の様相になっている。これでは人々の暮らしが成り立たないと、改めて驚かされた。

 到着したルクレールの広い駐車場は車も疎らで、何時もなら入り口近くの駐車スペースは大混雑する。この日はいとも簡単に駐車できた。それでもワゴンを押す人達が何組か目につき少し安堵する。

 回転式ドアを中に入ると、正面にクリスマス用のデコレーションが飾ってある。雪景色に中に山小屋があり、その前には橇を引くトナカイ、橇にはサンタが座っている。回りにはプレゼントのリボン付きパッケージとクリスマス気分満載だ。

 残念なのは親子連れの見物客が居ない事。コロナ外出自粛をもろに被った今年のクリスマス前哨戦である。12月になると様子も変わるだろうと願いを込めながら商品売り場へと向かう。

 広大な売り場で機能しているのは食品関連のコーナーと例外的に幼児、赤ちゃん服の売り場だけである。その他のコーナーは普段と同じ展示だが、テープを張り巡らして中に入れない様になっている。

 入り口近くにクリスマス用のショコラ、キャンディーなど集めた特設コーナーが出来ていた。クリスマスになると必ずと言って良いほど登場するのがヨーロッパ大手食品会社の定番商品群。大手スーパーから下町の駄菓子屋さん迄、無限にシェアーを拡大する皆さんご存知の企業である。

 アルファベット順に名前を挙げるとFORTWENGER(フランス)FERRERO(イタリア)JACQUOT(フランス)Kinder(イタリア)LANVIN(フランス)Lindt(スイス)MONCHERI(イタリア)Nestle(スイス)と単に製菓のみならず総合食品企業が目立つ。ルクレールとて例外ではなく、これらのメーカがコーナーの殆どを寡占している。

 そんな中にフォアグラを積み上げた棚もある。クリスマスに欠かせないアイテムだ。最近色んな国のフォア物である。

 今年のボジョレー・ヌーヴォー解禁日は11月19日であった。カフェもレストランも閉店中のフランスでは、恐らくボジョレ―・ヌーヴォー史上最悪の年であったと思われる。マーケット的にも輸出が困難な今、個人消費が頼みの綱。生産者泣かせの年である。

 皮肉な事に今年の新酒は当たり年となっている。刻があるとは言えないだろうが、新酒の割には重みがあり、香りも良い。申し分のない出来上がりとなっている。普段の年の新酒より数段旨い。そんな背景の所為か、ルクレールではボジョレー新酒コーナーを発売日後も継続して、クリスマス商品目玉のひとつとしていた。

 後は12月中半の更なる自粛緩和を頼りに、大勢の買い物客が来店してくれるのを待つだけの状態である。今は、毎日焼き上げるパンやケーキ・コーナーでも生産調整をして数を減らしている。

 

モントローのクリスマス市

 今年は中止になると思っていたモントローのクリスマス市が開催されると言うので出かけて見た。場所は旧市街にあるプラス・デュ・マルシェ・オ・ブレ広場。日曜午後気温4℃の寒い中にテントが並んでいる。

 予想した通り、静かな市が出来上っていた。外出自粛中であれば仕方のない事だが、出展者の方が気の毒である。広場での場所は変わったが、今年も牛、ロバ、山羊、兎などを集めた家畜小屋が出来ている。クリスマスに欠かせない家畜の集い、子供達へのサービスの一環である。親子連れの家族が集まって楽しそうに動物と触れ合っている。

 キリスト降誕を祝うクレーシュが小屋の一部に飾ってあるが、昨年のそれよりひと回り小さくなっている。そう言えば昨年はこの小屋の回りに東方三博士を模した人が立って子供達と記念写真を撮っていた。その姿も今年は見かけない。

 市の予告では出展者ももう少し多かったはずだが、実際には予告数より減っている。そんな中で地元アルチザンの方達が手作り、温もりのあるファッション小物やインテリア商品を作って販売している。

 モントローはシャンパーニュ地方から近い事もありシャンパンのROGGE-CERESERが出展していた。こんな小さなクリスマス市に人を割いて出展するその心意気が何となく嬉しくなる。何かの折にシャンパンを買う機会があったら、有名銘柄も魅力だが、敢えてこの銘柄を試したいと思っている。味への拘り、挑戦は尽きない。

 食品関連では地元産の蜂蜜、飲料などの他にイタリア産各種食品飲物を揃えたスタンドもあり、客を集めていた。中で一番賑わっていたのが、クレープ、ゴーフルのスタンド。家族連れが多いせいか、おやつ感覚でよく売れている。

 折角のクリスマス市も今年は盛り上がりに欠けるイベントとなった。昨年は市長を始め役場の方達が大勢参加して市を盛り上げていたが、外出自粛の今、表立っての行動は出来ないと言うのが本音なのだろう。

 

外国人観光客リターンを願うパリの経済界

 今年はギャラリー・ラファイエットとプランタンのクリスマス・デコレーション見物も止めることにした。自粛が緩やかになったとは言え、3時間と決められた外出時間では殆ど不可能。更に現場での混雑を思うと、つい腰が引ける。

 テレビのニュースを見ていると子供関連の玩具を扱う店などは結構客の入りが良いと報じている。そんな歳末商戦の中で、老舗デパート、プランタンがフランス国内にある4店舗を、関連店を入れると7店舗を閉鎖すると伝えた。

 今年2度のロックダウンで極端に減少した入店者が経営を圧迫、閉店を決めたと言われている。何と言っても観光客依存で成り立っていたパリの各デパート、プランタンに限らず苦戦を強いられている事は間違いない。特に中国からの観光客が居ないのが致命傷となっている。

 外国からの観光客が来なくなった状況は日本でも同じと思われるが、フランスに比べ国内消費率の高い日本はまだまだ安全に見える。ニュースなどで見る東京や大阪の街の様子では、女性のファッションなども今年流行りの物を着ている人が多い。パリの様子に比べると格段の違いである。

 何と言っても政府のコロナ対策の両国の違い、自粛と強制の違いが余りにも大きい。これから先の結果は誰にも読めないが、外から見る限りでは日本が羨ましくなる時もある。その一方で、こんなにも緩いコロナ対応で大丈夫だろうかと危うさも感じている。

 フランスでもアマゾンを始め通販業は業績を伸ばし、特にアマゾンでは特別ボーナスが出ると言う。とは言えフランス全体で見ると経済は下降する一方、ひとえに新型コロナの影響、一日も早い回復を願いたいものである。

 この稿が皆さんのお手元に届く頃には、フランスで新たな変化があるかも知れないが、少しでも良い方向への変化であって欲しい。幸い、この1年を通して営業し続けた食品関連、医療関連で働く人達によって市民生活が成立した。本当にお疲れさまでした、改めて感謝の意を表したいと思う。

 新しいニュース、正式発表では無いが、2021年1月からフランスでもコロナのワクチン接種が始まると。先ず医療関係者、更に高齢者施設に入居している人達から始めるようだ。一般市民が受けられるのはその後、もう暫く時間が掛かりそうだ。

 買い溜めしていた日本食品も残り少なくなった。出来れば大晦日を前にパリの日本食品店に買い物に出かけようと思っている。今は在庫がある事を祈るのみだ。

 


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