Vol.94 パックのショコラ

 フランスのショコラ事情を少し書いてみます。パックの祭りに付き物の代表と言えばショコラです。ノエルとパックの期間がショコラ消費のピーク、消費量としてはパック月の方が12月を上回ると言われます。
 3月、パックの祭りが近づくと、パリのあらゆるショコラティエやパティスリーのショーウインドーに色んな形のショコラが美しく飾られます。卵、魚、雌鶏、兎と何れも生命力の象徴とされるもの達です。
 中でもイースター・エッグと呼ばれる、美しい彩色を施した卵型のショコラは、各店のショコラ職人が競い合う腕の見せどころ、パックの華と言われています。大きいものでは高さ1mの物を飾る店が沢山あります。特に有名ショコラティエほど、この大型卵に拘りを見せていました。
 ところが、今年のパックでは殆どの店が大型卵の展示をやめています。理由は解りませんが、お互いに自粛しあったのではと言う人も居ます。中が空洞とは言え、1m近い卵のショコラ消費量は相当なもの、この大きさになると商品価値はゼロに近く、あくまでも装飾品としての用途しかありません。と言う事で店によっては毎年大型卵を保存して、次の年に表を塗り替えて展示する所が増えていたようです。
 ショコラと言えば、フランスとベルギーが世界的に有名です。有名ショコラティエを輩出するのもこの両国、この事は皆さんご存知の通りです。これにスイスを加えて、世界のショコラ三国と言われています。
 ショコラの個人消費量国別調査では、ルーマニアが世界第一の消費で一人年間15.4kg、2位ドイツが11.3kg。フランスは何と8位で6.4kg、イギリスやスイスより少ない数字が出ています。ちなみにこの調査では日本は19位2kgの消費量です。別の調査ではドイツが1位の結果もあります。
 ショコラの国別輸出ランキングでは1位ドイツ、2位ベルギー、3位オランダ、4位イタリアで、ここでもフランスは8位と意外な数字が出ています。ショコラ大国フランスは如何やらイメージの世界、意外な結果です。
 ここで言うショコラには板チョコも含まれますので、高級品としてのショコラ調査が出れば結果が違ってくるかも知れません。最近パリの有名ショコラティエでも板チョコ生産に力を入れていると言う話も聞こえてきます。
 それはさておき、パックの代表でもある彩色卵の飾りが少なくなったパティスリーのショーウインドーは真に残念です。日本は如何でしょうか。
 
 先日、久しぶりにマレー地区を歩いてみました。そこで偶然目にしたのが日本女性佐野恵美子さんがオーナーのショコラティエ、LES TROIS CHCOLATSです。
 佐野さんは勤めていた会社を25歳で退職。ショコラティエを目指して渡仏、フランス各地で10年間修行を重ねた後独立、現在地にショコラ、パティスリー店を開店。実家は博多で2代続くチョコレート・ショップです。恵美子さんが今の仕事を始めた事により三代目となります。店名のレ・トロア・ショコラもそう言う事情から命名したそうです。
 店はバスティーユに近いサン・ポール通りの45番地。ショコラは恵美子さんが全商品を手掛け、パティスリー部門のシェフがケーキ部門を担当しているそうです。
 伝統的なショコラに加え、日本の色んな素材を加味した珍しいショコラを作り上げてパリっ子の人気を得ています。出来て間もないのでこれからが楽しみな店です。