小川征二郎のパリ通信


Vol.182 フランス人若者によるプラスチック駆除運動

 

 フランスでも新年のテレビは一般視聴者を迎えての娯楽番組が多い。日本ほど酷くはないが、各局が歌番組やお笑い番組を構成の中心にそえている。極端な過剰なヤラセ番組が好きでない時代遅れの私である。この手のバラエティー番組に見飽きた某日、リモコンでチャンネルを操作すると、あるドキュメント番組に出会った。私が見た時は番組は既に進行していた。
 画面に美しい自然風景が映っている。豊かな緑、山間に続く棚田、そこを流れる澄んだ山水。その流れをカメラのレンズが追いかける。時をかけて流れ込んだ水がやがて住居の間を流れる川となり、淀みとなる。淀みに無数のプラスチックボトルやビニール袋が浮かぶ川の水はいつの間にか泥水に代わっていた。
 人々の暮らしぶりが画面に映る。その風貌と服装から場所はインドネシアの様だ。やがてジャワ島の特色ある風物詩がいくつか紹介される。海岸が現れ数多くのサーファーが映し出される。海辺で寛ぐ若者達のすべてが欧米人である。ジャワは西側からの観光客にとって天国の様に映し出される。
 画面が再び変わり元の川に戻った。長靴付きサロペットを着た1人の西洋人若者が現れ、そのまま濁った川に入っていく。おもむろに川に張った網を引き寄せると、大量のプラスチックボトルやビニール袋が河岸へと引き上がる。
 いつの間にか画面にインドネシアの若い女性が数名映り、同じように網(ネット)を操作して大量のゴミを収集している。そこに「ごみ駆除運動」のジャワ島メンバー達とナレーションが入る。

 回収されたペットボトルやビニール袋を細かく粉砕する工場が映る。この工場もゴミ駆除団体が作ったそうだ。ここまで見て過去に見た似たようなドキュメント番組との違いに改めて気付く。
 ボトル回収までは今までも何度か番組で見たが、今回見た番組との違いは彼らが処理工場まで作っている事である。工場を紹介しながら、画面は更に先へとすすむ。細かく粉砕されたペットボトルの一部は道路脇や公園などに運ばれ植木や花壇に土と混じって利用される。なるほど、このように処理されるのか。全てではないが再生利用のいち方法だそうだ。
 アジアの美しい島が近代化のしわ寄せで疲弊していく。この事を懸念する一人のフランス人若者が自ら立ち上げた環境保護団体である。それに賛同する現地の若者達の姿が清々しい。今世界中でこのような環境保護運動が広がっている。日本でも同様な事がなされているのは嬉しい事だ。
 このドキュメントの最後では、インドネシアのとある漁村の海岸を埋め尽くすプラスチック塵を懸命に収集をする子供たちの姿をレンズが追い、その先で操業する漁師たちを映し出していた。

 再生ボトルや食品、製菓関連のプラスチックパッケージも明らかに増えている。ミネラルウォーター用ボトルは一時再生品が急増した。ボトルの張りが柔らかくなり、使用後は簡単に潰せる。これも時代の流れと思っていたが、実はプラスチックボトルの再生は意外と遅れているようだ。再生の難しさを訴える業者もいて、政府はプラスチックボトルの生産を抑え、ガラス製瓶(ボトル)の回収を進め、その再利用に力を入れるよう指導しているという。
 ちなみに、フランスではプラスチック処理をサーマルリカバリー方式でなされているようだ。年間排出する250万トンの内200万トンを焼却、その率は70%でおよそ10万世帯に熱を給与しているとある。

 また別の資料によると、2015年の約4.07億トンへと急上昇している世界の廃プラスチックの14~18%がリサイクル、24%が焼却、残りは不法に投棄・焼却されている。
 毎分約トラック1台分のプラスチックごみが海へ流れ込んでいるという。プラスチックはほとんどが自然に還らずただ細かくなっていき、海洋環境に堆積する。海には、現在5兆個ものプラスチック片が存在し、これは地球を400周以上できる量である。

 海中のプラスチック袋は、クジラやカメなどがエサと間違って誤飲する例が世界中で報告されており、2018年にはタイ南部で死んだクジラの胃から80袋以上の袋が見つかったケースがある。
 細かくなったプラスチック(マイクロプラスチック)は食物連鎖を通して、人間も体に摂り込んでおり、健康影響について多くの研究者が警鐘を鳴らしているようだ。

 フランス各地でゴミの不当投棄が問題になり、地方自治体が頭を痛めているという。特に南仏では他県から越境して大量投棄をするゴミ業者がいるようで、捜査を強化する自治体があるそうだ。
 今朝のモントローは濃霧であった。5時ゴミ回収車が来て二人のスタッフが次々とゴミ箱からプラスチックや空き紙箱、雑誌古新聞類を回収した。空になったゴミ箱を家々の前に整然と並べていく。その箱を家の中庭に運んで朝一番の仕事を終えた。 

 

今年も1月はガレット・デ・ロワ

 新しい年、行きつけのブーランジェリーのショーケースの中には色んな種類のケーキが整然と並べてある。どれも美味しそうだ。そんな中から今年一番に選んだのはやはりガレット・デ・ロワであった。
 夕食後のデザートで頂く。4人用を3等分して皿に。中の餡はアーモンドである。同じアーモンド餡でも店によって味が異なる。今回頂いたガレットは幸先良く、甘み、アーモンドの分量、質、香り、焼き具合ともに申し分ない仕上げである。中のフェーブはディズニーのキャラクターであった。
 気付いたら昨日買ったガレット・デ・ロワで今年6個目となる。そのほとんどがアーモンド餡だ。ショコラ餡は一度、近所のブーランジェリーで焼きたてであった。未だ温かいガレット・デ・ロワを食したのは初めてである。これはこれで美味しかった。

「とらやパリ」で小豆餡のガレット・デ・ロワが売っているという。機会があったら欲しいと思っていたが、締め切りが1月17日との事で残念ながら購入できなかった。とらやパリは昨年で45年を迎えたという。流石日本を代表する老舗お菓子店、良くぞ頑張られたと感心する。
 45年前と言えば、パリでは和菓子と言う言葉さえ知られていなかった。当時、パリ在住の日本人は羊羹や最中など和菓子に飢えたものである。日本からのお土産にこれらの物をお願いする人が多かった。

 その後パリの街でも何軒かの和菓子屋が出店しては消えていった。恐らく当時のフランス人の嗜好に合わなかったのであろう。時を経て日本食店の店頭に羊羹や最中が並ぶようになり、今では韓国食品店の棚にも置かれている。日本人経営のパン屋に あんぱんや抹茶スイーツが登場してフランス人客が興味を持つ。今では抹茶ブームなどと呼ばれ、専門店が出来るほどになった。色んな日本食商品が注目される中で、抹茶は日本からの輸出品として増え続けているようだ。最近、パリの中華菓子店でもこの抹茶ブームに注目しているらしく、パンダンリーフなどを使って緑色の菓子を作っているという。

 1月17日と18日、モントロー旧市街にあるイベント会場「サル・リュスティック」でガレット・デ・ロワを味わう催しが行われた。モントロー市の自治体主催のイベントである。その対象は地域の皆さんで、大勢のシニアが会場に集まった。
 参加者全員にガレット・デ・ロワと飲み物が振舞われ、アコーディオンの演奏、合唱にダンスが会場を盛り上げた。
 この自治体活動「ベル・アージュ」と名付けられ、市民の為の色んなイベントが年間を通じて開催されているようだ。日本ではガレット・デ・ロワの普及はまだまだのようだが、フランスでは年始の菓子として市民に定着している。
                 (イベントに関してはChatGPTからの翻訳)

 


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