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小川征二郎

小川征二郎

フードジャーナリスト。現在パリに在住し、サロン・ド・ショコラ等のイベントや、パリの最新パティスリーを取材している。


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小川征二郎のパリ通信


Vol.114 老舗BIO店 GUENMAI

 パリの各種レストランが15日閉店して20日が過ぎようとしている。同じ日にカフェも一時閉店の達しが出た。勿論バーも同様である。その他映画館やコンサートホールなど、娯楽関連の場所、会場も閉められる。全てが新型コロナ問題に対する政府の対応である。

 現在、外出も特殊例を別に禁止状態に。新たに出された政府の制度変更によると以下の様になりました。(パリ日本大使館よりの連絡)

特例外出証明書・出勤証明書の書式が変更されました。新しい特例外出証明書には日時のみでなく外出時間の記載が必要です。なお,ペンで記載する必要があります(鉛筆不可)。

運動等目的の外出について,1日1時間以内,自宅から1キロ以内の範囲に限られました。複数人で散歩する場合は,同居人同士のみについて認められます。

違反を繰り返した場合について,1500ユーロの罰金が科せられることになりました。(以上在パリ日本本大使館からの連絡)

 更に夜間外出禁止令も出て、22時以降の外出は出来ない状態に。各種交通機関にも変更、制約が行われている。例えばTGV(日本の新幹線)は通常の10~15%運行、メトロはマイナス30%、バスは通常平均の40%減、運行時間は6時から22時、パリの30~50%の駅が閉鎖状態となっている。

 

 外出禁止令が出てから私も家に籠る生活が続いている。外出できるのは食料品、薬品購入時、又は病院、銀行へ行くときと決められている。その折の買い物も一人でと制約。食料品購入も基本はスーパーだよりで、先日から市場も閉鎖された。

 ここまで外出禁止令と書いたが、一部メディアでは外出制限と書いてある所もある。違反すれば罰金が科せられるので表記の違いはあるが、実質には禁止と同じである。

 50mの距離にあるブーランジェリーに出かけ、バゲット1本購入するにも外出許可用紙の持参が義務付けされる日々には些か疲れが出始めた。その都度時間とサイン記入が必要とされる。と言う事で、パンなどは纏め買いをしている。こういう状況に置かれて改めて解ったのは、作りたてパンの美味しさ、何とも皮肉な事である。

 フランス政府は今回の新型コロナ問題を見えない敵との戦争と位置付けた。今は家に籠って過ごしているが、ニュースは毎日見ていて外の様子は何となく見えてくる。人の気配が消えたパリの街などを見ると、ある種の不気味さが画面から伝わってくる。

 今の状況下ではパリへ出かける事も儘ならない。また出かけたとしてもカフェもレストランも閉まっているので時間を過ごす場も無い。映画館などの娯楽施設も同様である。行き場が無く、道路脇のベンチに座り疲れを癒していると、巡回中のポリスが来て紙の提示を求める。

 日々次々と法令が発されているが、新たに一部地方を対象に夜間外出禁止令が出た。夜22時以降の外出を禁止するとある。指定された地域は大変だろうなと思っていたら、何と私の住むモントローもその範疇にある。日中も出る事が無いので個人的に問題は無いが、それにしても何となく落ち着かない気分だ。

 先日は人が多く集まると言う理由で、市場も閉鎖された。歩きで1分足らずの距離にある土曜日の朝市。これが閉鎖されると真に不便である。新鮮な地産の野菜、果物、殆ど毎日使う卵が買えないと思うと日々の食生活にも影響が出る。

 政府は外出制限を4月15日迄とした。学校閉鎖も同じく15日迄継続、但し状況を見て継続延長もあるとしている。

 モントローのタウン誌によると、入院している新型コロナ感染者が5名いるとある。この街で感染したのか又は近隣の街での感染かは定かでない。正直言うとつい先日までモントローには感染者は居ないと安心していた。

 モントローはパリ郊外の長閑な田舎街、近くにナポレオン所縁の宮殿で知られるフォンテンブローがある。このフォンテンブローとモントローにもう一か所、計三つの街に大型病院があり、コロナ患者の入院は、この何れかの病院に運ばれる。この稿が皆様の元に届く頃には、更に感染者が増えるだろう。

 

 先日、日本のテレビ・ニュースを見て居たらフランスからの中継を報じている。主に外出禁止状態でのパリ市民の様子を伝えていた。ご覧になった方が居られたら、現在の深刻な状況をご理解頂けた事と思っている。

 中継の後は東京の盛り場、週末の様子に画面が変わった。知事が出したと言う外出自粛にも拘らず、大勢の若者達が画面に映し出されている。街頭や居酒屋などでのレポーターのインタビューに、家に籠っているのが嫌でと答える人が多い。

 テレビのキャスターやコメンテーターの話を聞いていると、日本は外国の様に簡単に緊急事態宣言、都市閉鎖は出来ないと言う方が多い。私個人の見方かも知れないが、ヨーロッパ諸国の対応、緊急事態宣言された現状が簡単になされたとは思えない。そこには為政者の苦渋の選択があったことが伺える。

 強権による行政の在り方を支持するつもりは全く無い。只、今回各国が対応を間違えていたら更に被害は広がっていただろう。イタリア、スペインを始めヨーロッパ各国、現在の惨状、特に患者や医療現場で働く方達の過酷な様子を見ていると、日本の現状の対応にいささかの懸念を感じる。

 政府、地方自治体の対応もさりながら、市民のより一層の自覚、緊張感を望みたいと切に思う。それが自分を守る唯一の方法だから。

 昨夜のフランス国営テレビで、コロナ・ウイルスにより亡くなられた方達を写真入りで報じていた。多くの方達の中には、元大臣や各界知名人、多くのアーティストやアスリートが居られる。これだけ数多くの方が亡くなられた事実を受け、改めて身を引き締めている状態。今出来る事は外出を控える事だ。

 フランスの現状を長々と書いたのは、先にも述べた様にヨーロッパ、中でもフランスと日本のコロナ対応が余りにも違うから。ひとつの例が自粛と言う言葉、日本の現状を見ると、自粛はあくまでも個人に委ねたもので、そこには何もペナルティーを伴ってない。

 同じ言葉でもこちらでは、受け取り側の意思よりそれを発する側の方が、より強い力を持っている。国により違いはあるが、いずれの国でも違反者には罰が与えられる。

 全てが停止状態の中で生きて行く事の難しさは並大抵ではない。我慢の連続、それを繰り返す毎日、色んな所でマイナス要素も現れている。とは言え、先にも書いたが医療現場で必死に働く人達の不安とご苦労を思う時、外出を控えるくらいの苦労は我慢できるのでは。それを自粛と言う言葉で放任する日本のやり方が正しいか疑問が残る。

 

 今のままで日本の感染者や死亡者が増えても、恐らく為政者は責任を取る事無く有耶無耶の内に終わらせてしまうだろう。若しそうなら怖い事だと思う。

 政府は大企業への援助を検討中と言う。個人的には、今大切なのは中小企業やフリーランス、パートタイマー、失業者などへの早急な援助、対応だと思う。日本経済の再生は中小企業の力、活性が要となる事を忘れてはならない。

 この稿もお菓子作りの現場で日々懸命に働いておられる方達に、少しでもフランスの現状を知って頂きたいとの思いで書かせて貰っている。

 

 前回のレポートでフランスの農業博でのbio事情を少し触れた。その関連で今回は自然栽培の素材を使ったレストランの紹介してみたいと思います。

 政府の外出制限が出る少し前、サンジェルマン教会近くに在る自然食レストランGUENMAIを訪れた。日本語の玄米を店名に使った店である。

 場所はサンジェルマン教会の裏側に当たる2 bis rue de l’Abbaye 75006 賑やかなビュシ通りから少し横道に入った静かな通りの角地になる。壁に貼られた番地プレートにはRUE

CARDINALEとある。後で貰った名刺にはlAbbayeとあるので、通りの名前が違うが、角地にあるのでどちらも正しい。通りからサンジェルマン教会の建物が目の前に見える。店の外観は白地にグリーンの格子柄、爽やかな印象の作りである。初めてこの店を見た時はファーマシー(薬局)かと思った。

 私が店を訪れたのは平日の4時頃、店が一番暇であろう時間帯を選んでこの時間にした。目論見通り店に客はいない。ドアを押して中に入ると正面にカウンターがある。外観と同じ格子のデザイン、その中で金髪の女性が電話中であった。目でいらっしゃいの仕草を。

 電話が終わったのを期に「店を見て良いですか」とお願いすると「どうぞどうぞ」の返事。写真を撮っても良いかの問いにも指を丸めてOK。再び電話が入り話始めたので勝手に店内の写真を撮る。

 実はこの店、随分前から気になり、店内に入らず外から何回か覗いた事がある。入り口のある部屋の棚にはシリアルや化粧品のパッケージが並べてある。こういった物にはあまり興味がなかったので、店内に入るのはつい躊躇、覗くだけに止めていた。それでも奥のレストラン・サロン・ド・テは一度見てみたいの思いはあった。

 電話が終わり、マダムが対応してくれる。名前はソフィーさん、店のオーナーである。店をオープンして20年以上になるそうだ。今ではビオ関連のレストランやスーパーが各所にあるパリの街だが、GUENMAIはそれらの店の草分け的な存在である。

 如何にもナチュラリストの雰囲気を持つソフィーさん。会話も自然で無理や気負いがない。20年以上も店を維持できた苦労話も淡々と語ってくれた。その間には何度も危機があったらしいが、必ず共感してくれる人が居るとの思いで難局を乗り越えた。

 とは言え、ビオ・ブームを迎えた現在、大型専門店も増え、更に薬局でもコスメ、シリアル関連の売り場を増やし、競争相手も多い。幸い店を維持できるだけの常連客が付いているそうで、そこは有難いとの事だった。継続は力と言う言葉を改めて思う。

 入り口のある部屋は自然食関連のブティックと言った構成。奥の部屋がレストラン・サロン・ド・テになっている。ここもグリーンと白のカラーで統一、籐椅子も同じ二色のデザインである。部屋の脇に大きな陶器が置かれ水を張り中に花が、しゃれた浮かれ花の演出だ。何とも清潔でお洒落な空間である。ランチ・タイム過ぎの部屋には客は居なかった。更に奥にある厨房でスリランカ系と思われる男性が調理具を洗っている。

 入り口脇に手書きでデジュネ(昼食)のメニューがあり、日替わり定食の品が書かれてある。この日は前菜が味噌スープ(味噌汁)か季節野菜のサラダ、メインが2種類あり、白身魚の天ぷら、ほうれん草のパイ、いずれかを選んで値段は14,50ユーロとある。白身魚の天ぷらなら大好物、いう事なし。

 

 認識不足も甚だしいが、有機食品、ビオ食品を使った料理と言えば、何故か野菜料理を連想。何か物足りなさを感じる事もあり、ビオ・レストランに足を運ぶ事は殆ど無かった。

 普段レストランに行っても野菜類を注文する事は余りない。料理の添え物程度で良いと言うのがその理由。と言う事で前菜で野菜サラダを選ぶのも稀のことである。若い頃から基本的にはそんな感じであった。

 歳を取ったせいか、食の好みも徐々に変わって来て、最近はサラダや煮野菜も食べる回数が増えて来た。暫く野菜が遠ざかると、体が求めるのか無性に生野菜が食べたくなる。そんな時食べる野菜は本当に美味しい。更に言えば有機栽培野菜への拘りも強くなっている。残念なのは値段が少し高い事だ。

 

 行って見たいの興味はあってもゲンマイに行かなかったのは、今思えば根拠のない偏見からに他ならない。認識も改まったので次回はレストランでお昼をと思っていたら、外出制限の公布が出てしまった。残念な事、暫くは解除を待とうと思っている。

 10月、日本から友達がパリを訪れ、食事を一緒する機会があった。ノルマンディーやパリ郊外の小旅行を楽しまれたという。中に食に関する仕事をされている方もいて食談義に花が咲いた。久しぶりに本場のフランス料理を堪能されたとの事。主に伝統料理を食されたそうだ。皆さんフランスの野菜が美味しいと言う。

 更に果物、特に苺が美味しいとも、苺本来の甘さと酸味のバランスが良いそうだ。実はフランスの苺は酸味が強すぎて不味いと思っていたので驚いた。ケーキ類では日本の苺ショートが一番美味しいと思っている私には、この話はショックだった。

 今回の旅で印象に残った一品はビオ・レストラン、ル・パン・コティディアンの野菜スープ。旅の疲れが吹っ飛ぶ美味しさだったと絶賛されている。ここには私も何回か行っているが未だスープは飲んでいない。こちらも一度経験したいと思っている。

 

今日7日届いた在フランス日本大使館からの連絡では

 パリ市は4月8日(水)より,10時~19時の時間帯について個人的な運動目的での外出を禁止すると発表しました。

 益々厳しくなるフランスの各規制です。


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