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小川征二郎

小川征二郎

フードジャーナリスト。現在パリに在住し、サロン・ド・ショコラ等のイベントや、パリの最新パティスリーを取材している。


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小川征二郎のパリ通信


Vol.106 サロン・ド・ラ・パティスリー・パリ

 昨年2月、パリのコンコルド広場に面した建物の中にある、オートモビル・クラブでひとつの記者会見が開かれた。会見の内容は新しく開催されるサロン・ド・ラ・パティスリーに付いての説明会である。軽い朝食を兼ねた会見で時間は午前9時開始であった。
 出席者は主にフランス・メディア、更にイギリス、ベルギーなどの取材班も来ている。恐らく他の近隣国からも参加があったと思うが定かでは無い。
 司会者の挨拶の後、サロンの会長に選ばれたピエール・エルメ氏の紹介、サロンの主旨説明などがある。フランス・パティスリー界の新しい波となり、業界の更なる発展、躍進を目指したいとのエルメ氏の挨拶があった。
 サロン開催は2018年6月、場所はポート・ド・ヴェルサイユ国際見本市会場で、現在あらゆる分野で準備中との事である。面白く興味ある企画と思えた。
 フランスのスイーツ部門でのサロンと言えば、まず思い浮かぶのがサロン・ドュ・ショコラである。1995年開催のこのサロンは今年で24年目を迎えるイベント。今年も11月に開催されるのアナウンスが届いている。
 現在、フランス、アメリカ、中国、ロシアなど世界各国の首都、更に各国大都市で開催され、ある意味マンモス・イベントに発展した。観客動員数もこの手の催しとしては群を抜いている。こう言う背景、下地の下で行われる新しいイベントなら、関係者ならずもある種の期待を持つのは当然の事となりそうだ。
 サロン・ドュ・ショコラはアイテムがショコラ、ある意味単品でのイベントである。これがパティスリー全般となると更に種類も広がって来る。やり方によっては大変面白いイベントが行われるだろう。サロンに期待したのはそんな理由からだった。
 期待していたサロン・ド・ラ・パティスリー第1回だったが、残念ながら見学は出来なかった。理由は、先に決まっていたクロアチアのドゥブロヴニク、夏のフェスティバルに参加したことにある。航空機、宿の手配も既に決定済み、キャンセルは出来ない。悩んだ末に選んだのがクロアチアだった。
 
 サロン・ド・ラ・パティスリー第2回は6月の14日から17日迄の四日間、ポート・ド・ヴェルサイユの国際展示会場で開催された。出かけたのは14日初日である。週末は入場者も多い事が予想される。入場料大人14ユーロだが、サロンの内容によってはそれほど高くは無いだろう。あくまでも内容次第だが。そんな事を思いながらのサロン行である。会場は偶然にもサロン・ドュ・ショコラと同じ建物だった。
 会場に着いたのはお昼過ぎ。ひょっとしたら入場時混雑に合うのでは、と思ったが杞憂に過ぎず、すんなり入場できた。
 チケット売り場の横に会場への入り口がある。そこでチケットを見せて中に入ると、まず目に入るのはフォションのブース。まるで化粧品会社のPRを連想するような洒落たポスターの前に受付の女性がいる。こちらもモデル顔負けの美しい女性、笑顔で客の対応をしていた。その横にショーケースが置かれ、中にマカロンを始めとする美味しそうなケーキが並んでいる。
 皆さんご存知の事だから詳しく書く必要は無いと思うが、パリでと言うか、世界のスイーツ界で活躍するパティシエでフォションで修業した方は多い。このサロンの会長であるピエール・エルメ、又今パリで一番人気と言われるホテル・ル・ムーリスのシェフ・パティシエ、セドリック・グロレもフォション出身である。
 フォションのケースに並ぶケーキを見ながら、その前を歩いて壁側へと向かうと、広いスペースを取ったアトリエが並ぶ。デモンストレーションが行われるコーナーである。それぞれに受付のスタッフを配して客に対応。中には調理台が並び講師指導の下にケーキ作りの実習中である。
 ひとつのアトリエでは、FAUCHONデモンストレーションの最中であった。その様子は外からも見える。受講者は男女、お年寄り、若い人と、サロンに来た一般の方達である。プログラムに沿ってFERRIERES、de Buyer、FRENCH TOUCH、LE CORDON BLEUなどが夫々にデモンストレーションを行うようだ。何れもフランスを代表する有名料理、製菓学校である。入学希望者への学校説明や相談コーナーを設けているところもあった。
 アトリエの他にも2か所フォーラム会場があり、有名パティシエのデモンストレーションや専門家の講演会が行われていた。入場者の割合に比べ受講者、見学者が多いのは、スイーツ関連に携わる方達の多さではと思える。中には熱心にメモを取る方も居られる。
 
 アトリエやフォーラムの前には大小のブースが並ぶ。パティスリー、ショコラトリー、ワイン、ラム酒、製菓関連用品、装飾品などなど、色んな業種が出展。それぞれのスタンド前やブース内には沢山の人が集まっていた。日本関連ではアオキが出展している。
 会場を一回りしてプレス・ルームへ向かう。中には資料を見たりパソコンに向かう記者が数人居た。部屋の奥でピエール・エルメ氏が記者のインタビュを受けている。
 プレス用の資料によると、フランス人60%の人が月1回パティスリーを買うと言う。又特別の機会、例えば誕生日やパーティなどがあると、その為に60%の人がパティスリーを買うようだ。
 パティスリー(ケーキ)を買う場所は、との問いには3人に二人がパティスリー(お菓子店)と答え、スーパーで買う人は全体の20%程度であるらしい。ちなみに冷凍菓子を買う人は3%に過ぎない。又、値段で選ぶ人は43%、商品のクオリティーを大切にすると言う人は55%となっている。買う時の基準で店又は商品の評判と言う人が37%、オリジナリティーを大切に、と言う人は20%である。購入価格基準は1個3.5ユーロと言うところが妥当な値段設定のようだ。
 好きなパティスリーは1位果物を使ったタルト(イチゴ、リンゴ、レモンの順)、2位ショコラ系、3位エクレアかルリージューズとなっている。
 
 第一回のサロンを見ていないので比較は出来ないが、正直云うと思っていたよりパティスリーの出展が少ない。これは他の業種にも言える。もう少し規模の大きいサロンを想像していたので、少し意外だった。
 オートモビル・クラブでの記者会見の時、朝食用のテーブルにはダロワィヨのパンやスイーツが並んでいた。帰りに頂いたお土産はプーシキンのお洒落なマカロンだった。これらの店は当然出展があると思ったが何故か見当たらない。第一回の出展で終わったのか、それとも第一回も出展しなかったのか何となく気になる。
 サロン全体を見た印象だが、一般客よりプロの参加を意識して運営している様に見える。出展業種の内容でも専門家対象のものが多い。初日入場者だけの事かも知れないが、いわゆる業界の人と言った感じの人が目につく会場だった。また専門学校の学生と思える若い人達のグループも多い。
 カカオ、バニラ業者の出展もあるが、もう少し数が欲しい。生産国は数多くあり輸出先を探していると話を聞くので、勧誘次第では数多くの出展国、業者が見込まれると思った。今回はカカオがブラジルとベネズエラ、バニラはマダカスカルの業者出展であった。
 入場者数は週末にはもっと増えるだろう。只、出展企業に関しては先程も触れた様に物足りない、何れの業種ももう少し数が欲しいところだ。
 プレス・ルームで偶然サイトウ・チエコさんに会って少しの時間だが話す事が出来た。サイトウさんは第一回のサロン・ド・ラ・パティスリーも見たとの事、今回の方が出展企業も多く、上手く纏まっていると言う。そうであるなら、ある程度の想像は出来る。
 サイトウさんはフランス在住のジャーナリスト、主にパティスリーやショコラ業界に付いて取材活動をされている。
 正直言うと未だ産声を挙げたばかりと言えるこのサロン。今はピエール・エルメと言う看板スター頼りの運営状態と言えそうだ。ある程度の域に達するには暫し時間が掛かりそう、今後の成長を期待したい。 長い目で見る事にして会場を後にした。
 先にも触れたがサロンの主旨は時代が求めているもの、又今のフランスに必要なものである事は間違いない。ぜひ成功して欲しいサロン・ド・ラ・パティスリーである。


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